2000万稼ぐ女の悩み

今日は焼肉の日だそうな。

焼肉といえば、先週、ある経営者に高価な焼肉をご馳走になってきた。地元で昨年5月からネイルサロンを経営している26歳の女性だ。年下の女性に松阪牛をおごってもらう30過ぎの男の存在価値についてはひとまずおいといて、今日はその彼女について書こうと思う。

彼女のことは随分昔から知っている。初めて知り合ったのは中学生の頃なので、もう12年は経つ。田舎によくいる典型的なヤンキー(マイルドではなくハード寄りの)ギャルといったパターンの子で、高校には行かず、地元の仲間とつるんだりパキパキの彼氏を連れてフラフラして「ブクロサイコー!」といったようなグルーヴのアレだ。ブクロではないけど。

当時からぼくは彼女のことが苦手だった。ヤンキーだからギャルだからというわけではなくて、掴みどころがないというか何を考えてるかわからない感じだったから。今となってはなんとなくその理由もわかるんだけど。ちなみに彼女もぼくのことは苦手だったらしい。どういう理由でかは知らないけど。

そんな感じで、数年に一度、または年に一回ほど共通の知り合いが集まる場所で、軽い雑談をする程度の間柄でしかなかったわけだけど、去年の3月にネイルサロンをオープンするにあたって、ブランディング面(広告やWebサイトなどのデザイン)で協力してほしいという相談を受けた。それまでは自宅サロンという形で友人や知人を中心にやっていたけど、店という形でやっていきたいということだった。

正直、相談を受けた時は、今まで通り自宅でやればのんびり出来るしリスクも少ない。なんで店舗にこだわるのかがいまいちよくわからなかったし、特にこれといった理由もないんだろうと勝手に思っていた。

でも実際はちゃんと店にする理由があった。要約すると、低価格だけが売りで右にならえ的なデザインしかないサロンや、水商売をやってるお姉ちゃんが仕事前にすっぴん&スエット状態でササッとやっていくか、ブライダルや成人式の時にだけスポットで施術して終わるようなお客さんしかいないこの土地で、もっとライフスタイルの一部としてネイルというものを提案して浸透させていきたい。そのためには自宅でやってるだけではダメで、店を持ち、空間作りにこだわって「他店より少し高いけどココに通いたい」と思わせるようなイメージ作りが必要だということだった。だからぼくに頼んだデザインもかなりこだわっていた。

仕事を通じて色んな話をしていく内にわかったのだけど、彼女は学力はほぼないけど頭が良いし、行動力がある。そして一般的な意味で口も性格も悪く身も蓋もないことをしょっちゅう言ってるので話していて刺激的だ。ぼくもそれなりに性格の悪さには定評があるので、そういう意味ではコミュニケーションは非常に楽だ。

そして一ヶ月半ほどの準備期間を経て、昨年5月に無事オープンすることができた。

狙いは大成功で、オープン当初は「月に大体60万売上があればそれなりにやっていけるよね」と言っていたのが、あれよあれよという間に月150万、250万とあがっていき、オープン僅か1年ちょっとで2000万近い売上を出した。マジかよ。

人脈もなく、中卒で、フルタイムで働いたことがない人間が、親から200万借りて、店をはじめて1年ちょっとで売上が2000万というのは普通にスゴい。ネイルはそのほとんどが技術料なので、利益率は高い。また店の場所に関しても、外観よりも立地と家賃にこだわって、内装は友人を使って仕上げ、初期投資をかなり抑えた。こんなのは経営者からすれば普通のことだろうけど、彼女はわざわざ勉強とかするタイプではないので直感だけでやっている。まあ、ぼくも多少は口を出したけど実際に決めるのは彼女だ。

そんなわけで自信たっぷりにバリバリ仕事をこなしている彼女だけど、店をオープンしてから数回、急にしおらしくなるときがあった。しおらしくというか「自分はこのまま行っていいのだろうか」的なブレというか「もっと時間に余裕がほしい」といったような感じの愚痴だ。最初は、疲れてるだけだろうと思っていたけど、このブレがあるタイミングが出ていることに気づいた。

彼女は年に数回、GWやお盆や正月などに、地元の友人たちと飲み明かす。ブレが出るのは決まってこの後に打ち合わせした時だ。

彼女は今まで自分がいた場所(友人たち)からどんどん遠ざかっていく感覚に、妙な後ろめたさや罪悪感を感じているんだと思う。多分、店をはじめてギリギリ食えてますぐらいの成果であれば、今までと変わらない人間関係の中でバランスを取りながらやっていけたのだと思う。だけど売上があがるにつれ、生活リズムも変わり、仕事に追われるようになり、たった1年で人間関係もガラリと変わってしまった。

もちろん、のんびりと仕事をしながら地元の仲間と楽しくという生き方が悪いと言いたいわけじゃない。それが自分の気持ちだとしたらそうすべきだと思う。だけど、友人たちとの時間が終わった後の彼女の話は、仕事の話をしている時とは違い、友人たちに対する文句ばかりで全然楽しそうじゃない。言い方は悪いけど、昔から変わらない友人たちを上から見ることで安心するためにコミットしているようにもみえた。

そのことについて、肉をご馳走になってる分際で偉そうに突っ込んでみた。実際その通りだったようで、楽しみたいのに地元仲間といても楽しみきれない、大切にしていきたいのに、仕事をしているとき、またそれに関連する人たちと話しているときのほうが楽しいと思ってしまう自分に戸惑っているということだった。

ステージが変わっていくことで、人間関係も変わっていくのは自然だし仕方がないことだと思う。これは別に仕事に限ったことじゃなくて、結婚したり子どもが生まれたりしても同じことは起こる。そしてどんなにステージが変わっても、ずっと変わらない関係でいられる友人というのは、誰もが見つけれるわけではないし、いたとしても生涯で一人二人見つかれば良いほうだろう。そして彼女にはすでにそういう親友が一人いる。ぼくとしてはそれで十分なんじゃないかと思う。

もちろんどういう道を選ぶのは本人が決めることだし、ぼくがとやかく言うことではない。だけどここ1年、かなり近い距離でその仕事ぶりや考えを見てきた自分としては、おせっかいながら、変わっていくことを恐れず、どんどんその能力を発揮していってほしいと思うのでござる。

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